CRASH GATE 自由が丘店
DISPLAY,  INTERVIEW,  SHOP

バイヤーが考える、商品選定と売場の関係

家具総合商社直営店の商品展開とディスプレイ方法とは?

MMDは、セレクトショップのためのメディアサイトとして、これまでも展示会への取材や売場作り・商品の展開方法の提案、注目しているジャンルやアイテムの紹介などを行ってきた。

今回は、セレクトショップに求められる“これからの売場”について考察すべく、株式会社関家具が運営するライフスタイルショップの“CRASH GATE(クラッシュ ゲート)自由が丘店”を取材した。

ライフスタイルショップとは、インテリア、雑貨、グリーン、服、食品、ボディケアアイテムなどの暮らしに関わる商品をショップ独自の感性で集め、編集・ブランディングされたセレクトショップのことである。

CRASH GATE 自由が丘店では、家具総合商社の直営店だからこその売場づくりの考え方や商品訴求の強みについて、チーフバイヤーである平田とわ氏から話を伺うことができた。

平田氏の話を元に、セレクトショップが“これからの売場”で考えていきたいVMDや商品提案について迫っていきたいと思う。

「心躍るものとの出会い」を提案するライフスタイルショップCRASH GATE

CRASH GATE
CRASH GATE
https://crashgate.jp/

株式会社関家具の事業内容について教えてください。

− 平田氏コメント:株式会社関家具(以下:関家具)は、街自体が室町時代から家具の生産地である福岡県大川市で創業し、2018年に50周年を迎えた会社です。卸売事業、コントラクト事業、小売事業の3つの事業を行っています。

卸売事業では、全国の家具屋やインテリアショップ、通販会社などに家具を卸しており、コントラクト事業では、ホテルや飲食店、カフェなどの空間プロデュースを行っています。そして小売事業として、直営店舗CRASH GATE、 アトリエ木馬、関家具大川本店などを運営しています。

CRASH GATEは、自社開発の家具とセレクト雑貨のライフスタイルショップで、その特徴は「CRUSH CRASH PROJECT(クラッシュ クラッシュ プロジェクト)」の6つのブランド全てを取り扱っていることにあります。

CRUSH CRASH PROJECT(クラッシュ クラッシュ プロジェクト)とは

− 平田氏コメント: 関家具では30を超えるブランドを取り扱っており、商品の企画・開発から工場での製造ラインまでをメーカーと協力して行うオリジナルブランドも多数手掛けています。 その中の1つに自社のデザインチームが作る“遊び心と実験精神にあふれるインテリアコレクション”「CRUSH CRASH PROJECT(クラッシュ クラッシュ プロジェクト)」があります。

「CRUSH CRASH PROJECT」の名前には、砕く、破壊、衝突の意味を持つ“CRASH”という単語を使い、もとからあるモノ、価格、考え方、使い方、定番、常識、非常識など、様々なものを一度無くし、形を変え、ぶつけ合わせながら再構築することで、新しいモノを作ろうという意味が込められています。

CRUSH CRASH PROJECT
CRUSH CRASH PROJECT
https://www.crashproject.jp/

− 平田氏コメント:私たちの思う“いい暮らし”とは、単に高価で上質なものではなく、好きなものや思い入れのあるものに囲まれて暮らす喜びや哀愁、なつかしさなど、形ではない心の豊かさがあるモノ(コト)だと考えます。

セオリーやメソッドに縛られることのない独自のユーモアのある世界観が表現された「CRUSH CRASH PROJECT」の家具を取り扱うCRASH GATEは、「心躍るものとの出会い」を楽しんでいただけるライフスタイルショップです

部屋を想像しやすい“迷いの少ない”売場づくり

家具と雑貨を取り扱うCRASH GATEでは、どのような考えで売場を作っていますか?

− 平田氏コメント:お客様が自分の部屋を想像しやすい売場を心がけています。以前は、チェストの上に雑貨商材をモリモリに置いたり、家具の上に雑貨を陳列したりして、家具と雑貨をミックスした売場にしていましたが、現在は、家具と雑貨をコーナー分けしています。

雑貨売場では、キッチン周り、ガーデン周り、リビング周りなど、カテゴリーごとにしっかりと分けて展開しています。

家具売場では、お客様がパッと見たときに「部屋の大きさと一緒かな?」「持っているアイテムと合うかな?」というマッチングイメージが簡単にできるよう“迷いの少ない”売場にしています 。

カテゴリーごとに展開されている雑貨売場
食器やエプロンなどキッチン雑貨が並ぶコーナー

− 平田氏コメント:例えばリビング商材だったら、おおよそ何畳の部屋かを想定し、その大きさに収まるようにダイニングテーブルとソファーを配置しています。

家具は洋服のようにその場で試着をして自分に合うかどうかを判断できるものではないので、いかに売場で生活空間を想像していただくかが大切です。

売場作りの際、何畳位のスペースを想定するかで必然的にターゲットも絞られますので、より接客がしやすくなるというメリットも感じています。

リビングダイニングを一つの空間として実際の広さをイメージできるよう提案している

− 平田氏コメント: また、CRASH GATEは家具総合商社の直営店ということもあり、新作家具が年に4回登場します。

これは、 異例の多さなのですが、家具は雑貨と違い、商品入れ替えの際に何処かへしまっておくという訳にもいきませんので、お客様に迷いの少ない売場を作ることで購買意欲を高め、商品回転率を上げたいという狙いもあります。

ディスプレイとスタイリングの考え方

ディスプレイとスタイリングについて、もう少し詳しく聞かせてください

− 平田氏コメント: 2019年9月に発売された新商品のユニットシェルフ「アトランダム」を例に出すと、“空間全体のまとまり”を意識してディスプレイしています。

家具メーカー発のキッチンシェルフだからこそ、他の家具と合わせたときに相性の良い面材を使用したデザインである事、組み合わせを自由に選ぶことでキッチン以外の場所にも使っていただける事の2点がこの商品の特徴です。

その魅力を売場で体感していただけるように、空間全体がまとまるよう演出しています。

− 平田氏コメント: 面の明るさを合わせると全体のまとまりが出やすいので、こちらではナラ材を使用したダイニングテーブルと合わせています。

ユニットシェルフのステンレス部分と合わせて古材のテーブルを組み合わせれば、より男性的な印象も与えられるでしょう。

自由が丘店では、客層に合わせてナチュラルテイストにディスプレイしていますが、店舗によってお客様の層が異なりますので、 “空間全体のまとまり”を意識しつつ、各店舗の色が出るディスプレイになっています。

オークとステンレスの組み合わせのユニットシェルフは、スタイリッシュな家電も合わせやすい

VMDが全店舗のディスプレイを管理しているのでしょうか?

− 平田氏コメント:店舗が入っている館(商業施設)によって、お客様の層や売れるものに違いが出てきますので、全てを統一するのではなくメインの部分だけをVMDが統一し、そこへエリアマネージャーと店長主導で各店舗の独自の色を加える形を取っています。

VMDの専門スタッフが加わったのは今期からですが、全店で統一する部分を作ったことによりお勧めしたい商品や売れ筋の商品の在庫管理もしやすくなり、顧客満足の向上につながっています。

クリスマスシーズンを意識したリースや温かみのある小物のディスプレイ

スタイリングされている小物はどのように選定しているのでしょうか?

− 平田氏コメント:現在、店舗入り口のメインディスプレイでは、クリスマスシーズンですので、暖かみのある小物でホームパーティを連想させるようなスタイリングにしています。

先にご紹介したユニットシェルフにスタイリングしている小物は、あえてスタイルを定めないようにしています。

日本は様々な文化を海外から取り込んできた歴史があるので、色んなスタイルを混ぜることを楽しむ生活が当たり前になっていると感じています。“日本の家庭料理”を思い浮かべていただくとわかりやすいと思いますが、スタイルを統一しなくても変じゃない、むしろスタイルを混ぜることが当たり前の場所が日本のキッチンだと考えています。

− 平田氏コメント: 今回のスタイリングはステンレスを多めに使用し、黒とベージュを差し色で使っています。スタイリッシュな家電が増えてきていることや、キッチンに立つ男性が増えてきていることも踏まえ、女性らしいものだけでまとめるのではなく、ユニセックスな世界観にしています。

インタビューにお答え頂き、ありがとうございました。

異業種との繋がりで生まれた人気商品ユニットシェルフ「アトランダム」

チーフバイヤーの平田とわ氏の話に出てきた新商品のユニットシェルフ「アトランダム」は、開発に至った経緯がなんとも関家具らしい商品だ。

卸売事業、コントラクト事業、小売事業の3つの事業を手掛ける関家具には、ハウスメーカー、デザイン会社、小売店、カフェ、エンドユーザーなど、様々な方面からの商品要望や情報が必然的に集まってくる。ユニットシェルフ「アトランダム」は、住宅メーカーとの取り組みを通してシステムキッチンを数多く見る中、“スペースにピッタリとはまるシェルフが欲しい”という声から生まれた新商品なのだ。

住宅メーカーの手掛けるシステムキッチンから自宅のサイズに合うシェルフを探した場合、特注家具扱いとなり値段が高くなってしまうが、ユニットシェルフ「アトランダム」のような置き家具にすることで、価格を抑えることができる。さらに、家具メーカーだからこそ、マンションの一室ようにキッチンが見える部屋でも空間全体のインテリアに合う、価格を抑えながらも上質なシェルフを開発することができたのである。2019年9月の導入以降全店舗で好調の「アトランダム」は、異業種との取り組みによって得られたノウハウが功を成した商品と言えるだろう。

組み合わせ次第で置きたい場所に大きさを合わせる事ができるユニットシェルフ
自由な組み合わせができるユニットシェルフ「アトランダム」 
“収納にオリジナリティを”をコンセプトに商品開発されたユニットシェルフ。地元大川のメーカーと共同開発をしたメイドインジャパンの商品。パーツ売りの商品を自分好みに組み合わせることで、オリジナルのキッチンを作ることができる。壁のデザインに凝った住宅でも使いやすいように、背面が抜けたデザインを採用。家具に使用する面材を使うことで、長く使うほど味が出て愛着がわくよう設計されている。その上質な素材感は、キッチン以外の場所にも馴染み、住空間を総合的に演出できる。 

多方面的にインプットし、作り上げる売場へ

CRASH GATEの強みは、卸売事業やコントラクト事業から多方面的に情報が入ってくることにある。インプットした情報を生かした売場づくりを行うことで、常に顧客のニーズを意識した売場を展開できるのだろう。

近年、ミラノサローネをはじめ世界の展示会では、ダークブラウンなどの色の濃いハードな家具から、ウォールナットやナチュラルな色味のオーク材などを用いた 上品なものが好まれる傾向へ変わってきているが、CRASH GATEで販売されている自社開発家具もナチュラルなテイストのものが多い。

世界的なトレンドを捉えた上で開発した商品を、いち早く展開できるのは直営店の強みである。また、エンドユーザーからの商品改善の要望も、直営店から商品開発へ伝えているそうだ。このようなメーカー部門と小売部門との隔たりのない関係性が、顧客の心をつかむ店舗運営につながっているといえる。

メーカー部門と小売部門との隔たりのない関係性は、メーカー直営店ではないセレクトショップにも築くことができるだろう。直営店に比べたら関係性の構築は容易ではないかもしれないが、ライフスタイルが多様化し、求められるモノが深化する中で、隔たりのない繋がりを持つことは、これからの売場づくりに欠かせない要素である。

顧客の心に響くVMDとはどのようなものか、求められる商品とは何か、をセレクトショップだけで考えるのではなく、メーカーはじめ多方面的に得た情報・繋がりを元に、売場づくりに生かしてほしい。