INTERVIEW,  SHOP

人が財産となる事業「運営代行」

販売を代行するだけはでない「運営代行」

モノを売るためには大きく2つの要素が必要だ。ニーズがあること、そして「ベネフィットを伝えること」。

その伝え方は多様化し、対面での接客と同じようにオンラインの活用も主流となった。

“運営代行”という言葉を耳にしたことはあるだろうか。EC業界ではよく聞く代行事業だが、今回我々が取材したのはアパレル実店舗の運営代行を行う企業「株式会社FourAmbition (フォーアンビション) 」。

売上へのコミットメントはもちろん、従来の“販売代行”とは違い、販売スタッフへの徹底した教育・育成を行うことでクライアント企業のミッション・ビジョンを達成へと導く。

株式会社FourAmbition (フォーアンビション)
https://fourambition.jp/
ファッションビジネスを中心に店舗の運営代行を行う企業として2008年に設立。エリアは全国に及び、主に関東および関西の都市部やアウトレットモールにて、大手外資系、国産アパレルブランドを主要顧客とし、高いスキルとスペシャリティを持った販売の道のプロ集団としてサービスを提供。現在はWMH (ワールド・モード・ホールディングス) に所属し、グループとしてのソリューション提供も行う。

ITの普及によって情報収集から購入までがオンラインで完結する世の中で、実店舗だからこそ提供できるコトとは何なのか。

また、ショップスタッフの人材不足の問題や小売業界全体ではAIを活用した無人化店舗が現れる中、求められる“人”とはどんな人材であるのか。

今の時代の対人コミュニケーションが成せること、そして接客の本質について、FourAmbitionの代表取締役 廣瀬雅則 (ヒロセ マサノリ) 氏に話を伺った。

販売職にスポットライト

会社を設立されたきっかけを教えてください

− 廣瀬氏コメント:これまで長くアパレル業界にいたのですが、会社設立はひとつの夢でした。前職で3,000人以上のスタッフをマネジメントしていく中で「販売職の地位向上」を人生の集大成にしたいと思うようになりました。

販売職はどうしてもスポットが当たりづらい職種です。労働条件も決して良いわけではない。

それでも、ブランドの魅力を伝える最前線で、お客様と直接対話し商品の魅力や喜びを共有したり、逆にお客様の感動や情報をインプットしたりできる唯一の職種です。

そんな販売職の魅力を発信していきたいと思い、当時の賛同者4人で販売に対する志を掲げて「FourAmbition」を設立しました。

− 廣瀬氏コメント:「常に感謝の気持ちを大切に、お客様・取引先そして社員とその家族の喜びを開発する」というビジョン (=志) で、我々はそれらを「喜びの開発業」と称しています。

発展や育成、潜在的な力を引き出すという「開発=development」は、全てにおいて喜びとモチベーションに通じていると信じて運営代行事業を続けています。

セレクトショップが運営代行に期待すること

“販売代行”との大きな違いは何でしょうか

− 廣瀬氏コメント:一般的な販売代行は販売スタッフを派遣して、文字どおり「販売を代行」するだけのところがほとんどです。

我々の運営代行は販売だけでなく、顧客分析、作業効率の向上や集客の改善なども含めてPDCAサイクルをまわし販売計画を実行・修正しながら売上に繋げるまでの戦略や戦術の提案まで行っています。

クライアントの依頼背景もそれぞれで、人材不足の場合もありますし、即効性のある売上が欲しい場合や販売体制を変えずに運営を強化したいといった理由、それから外部の人間が入ることで新しい発見・可能性を期待されている場合もあります。

FourAmbitionならではの特徴を教えてください

− 廣瀬氏コメント:アパレルショップやセレクトショップでの運営代行の実績が数多くあるので、業態やエリアに合わせた戦略・戦術を数値と共に明確に持ち合わせていることです。

例えば、路面店営業が中心のセレクトショップが新たにアウトレットモールに出店する場合、客層も来客数も既存店舗とは異なりますよね。

客層や来客数、客単価に合わせた接客対応や、商品のオフ率の判断・在庫の回転率などの知識提供が、前例やノウハウを持たない企業にとって、我々運営代行会社を通すことのメリットです。

ブランドを伝える接客教育の徹底

運営代行スタッフに必要なモノは何でしょうか

− 廣瀬氏コメント:お客様側から見れば正規スタッフと運営代行の区別などなく、同じそのお店の店員です。

むしろ違いがあってはいけないんです。だからこそ販売員への教育は徹底しています。

運営代行を行う際に限らず、どんなアパレルショップ・セレクトショップでも共通して大切にしていることは“ブランド理解”です。

新店舗のオープンに合わせて採用した販売員にブランドを理解した上での接客を1から教育するには大変な労力が必要ですよね。

我々は「ブランドを伝える接客」を心掛け、ブランドに適した表現や接客を前提として売上を上げていくことをコミットしているので、クライアントの負担は大きく軽減されると思います。

接客という無形のスキル

接客の質の高さも特徴のひとつでしょうか

− 廣瀬氏コメント:無形のスキルレベルについては他社と圧倒的に違うと思います。笑顔ひとつとっても徹底的に教育をしていて“印象力”の高い人材を抱えていることは当社ならではの強みです。

例えば、我々は第一印象の前の印象を「ゼロ印象」と呼び、会話が始まる前の無意識の状態から意識することで良い第一印象に繋げるよう努めています。

お客様と会話している時に限らず、店舗に立っている時は常にお客様に見られていることを意識し、スタッフ同士で確認し合うんです。

ゼロ印象を意識することで必然的に店舗の雰囲気は良くなり、一人ひとりの印象のみならず、店舗・ブランド全体のイメージアップにつながると思っています。

モチベーション持続のための評価基準

独自の教育プログラムが売上向上やファン増加に繋がっているんですね

− 廣瀬氏コメント:一方で、いくらノウハウを培ったとしても最終的に接客とは“経験の積み重ね”が結果を出すのも事実です。また、どれだけ経験豊富なスタッフであっても良い結果を出し続けることは難しく、売れるとき売れないときの波があります。

そのため、FourAmbition では個人売上だけでなくお客様へのアクション、対話の回数も重視しています。単純にスタッフを売上だけで評価するのではなく、“人”を見るようにしているんです。

さらに立てた目標は各自目標管理シートに落とし込み、上長が都度進捗を管理します。何が良くて何が悪かったのか、何故この結果なのか、自分で考える力を持てるように初心者・ベテラン関係なしに一人ひとりが自身の成長のために行っています。

このように、売上という絶対的な数値に重きを置きつつも、スタッフのモチベーションの持続に気をつけて評価基準を細かく設け、明確にすることで総合的に店舗の売上を持続、向上していくことができています。

最後に今後の展望を教えてください

− 廣瀬氏コメント:少し前までは人材不足だったアパレル業界も、コロナショックの影響を受けて人材過多となりました。海外の方を中心に販売員の人材余りが増えています。

我々の事業は人が軸となり人が財産であるからこそ、今まで以上に積極的に可能性のある人材と会っていきたいと思っています。

実店舗の最大の魅力のひとつでもある対面での“接客 (=人) ”という無形の財産を強みに、これからも、お客様に喜んでもらうために、ブランドのファンを増やし商品価値を提供するプロ集団でありたいと思っています。

インタビューにお答え頂き、ありがとうございました。

接客のプロフェッショナルとは

取材の中で「習うより慣れるが大事」という言葉が印象に残った。どれだけノウハウを学んでも、店舗に立てばマニュアル通りにいかないことの方が多いのが販売職なのであろう。

10人いれば10通りの接客が生まれ、一つとして同じコトはない。消費者の反応やそれに対する対応、何気ない会話まで、一つひとつの接客が経験の幅を広げ人を育てていく。

最終的にスタッフの成長を促すのは、他でもないエンドユーザーである。それは終わりなく続く道であり、成長を追求することこそがプロフェッショナルなのかもしれない。

本質的な接客のあり方について考える

セレクトショップが成長し、店舗拡大する中で必ず課題となるのは販売員の質を保つための教育や組織体制ではないか。

特にショップが飽和状態にあるアパレル業界ではブランディングがブランド存続のために非常に重要な役割を担っている。

実際に急激な店舗の拡大でブランディングの統制がうまくいかずにファンが離れてしまうケースも見かける。

「売上の裏側には必ずお客様がいる」と語る廣瀬氏。実店舗だからこそ可能な“人対人”のコミュニケーションは、売上だけではない印象をユーザーに残すことが可能だ。

単にその時その瞬間でモノを売るだけでなく、同時にブランドのもつストーリーや魅力を伝えることでユーザーをファン化させ、未来の売上を約束しているのだろう。

ただ、それは口で言うほど簡単なことではない。人も店舗も淘汰されていくであろうこの先、今回取材したFourAmbitionのように勝つための戦略を組み立て戦術を実行できる人材を育てることがより重要になっていくのではないか。

実店舗の強みを確固たるものにしていくために、本質的な接客やスタッフ教育のあり方について向き合い、今一度考えてみる必要があるのかもしれない。